少子高齢化が日本を幸福にしているかも知れない話
総人口:総務省統計局資料より作成
15歳~64歳人口:総務省統計局資料より作成
有効求人倍率:厚生労働省「職業安定業務統計」より作成
日本の自殺者数は、1998年から2011年まで年間3万人を超えていました。日本の総人口は2006年に、労働人口である15歳から64歳までの人口はそれより早い1996年にピークを付けています。人口減少に合わせて有効求人倍率は上昇していますが自殺者数は減少しています。自殺の要因別では、経済・生活問題が大きく下がっています。雇用環境がいいと自殺者は下がるようです。少子高齢化が日本を幸福にしているかも知れません。
1993年から2005年まで有効求人倍率が低迷した時期を、就職氷河期と呼ばれ、この時期に思うように就職することが出来なかった世代を「ロストジェネレーション」と呼ぶ人もいます。
収入と支出とGDPの関係
支出:総務省統計局「家計調査」資料より作成
平均給与:国税庁「平均給与」統計より作成
名目GDP:内閣府「GDP統計」より作成
GDPの50%は、個人消費であり個人の収入と支出はGDPに直接連動します。平成に入り収入と支出が低迷し続けたことが国全体の経済の成長を阻みました。
企業は正規を非正規に置き換えて平成不況を抜けだした。
非正規(千人):総務省統計局「労働力調査」資料より作成
正規(千人):総務省統計局「労働力調査」資料より作成
平均年収(正規):国税庁「平均給与」統計より作成
平均年収(平均):国税庁「平均給与」統計より作成
平均年収(非正規):国税庁「平均給与」統計より作成
法人企業統計年報より作成
平成に入り企業は正規従業員を非正規従業員に置き換えて来ました。平成の間に非正規従業員の比率は4割弱に達し、正規と非正規の労務費の差額により企業は負債を減らし、資本を積み上げて来ました。正規(494万円)と非正規(175万円)の平均の年収の差は2倍以上に達し差は拡大傾向です。貧富の差が拡大していると認識すべきです。
家計の金融資産は900兆円は増えました
日本銀行資金循環統計より作成
貯蓄額平均値:総務省統計局「家計調査調査」資料より作成
貯蓄額中央値:総務省統計局「家計調査調査」資料より作成
平均年収(正規):国税庁「平均給与」統計より作成
平均年収(平均):国税庁「平均給与」統計より作成
平均年収(非正規):国税庁「平均給与」統計より作成
平成の間に家計の資産から負債を引いた正味資産は900兆円増えました。貯蓄の平均値(1812万円)の上昇に対して中央値(1074万円)の上昇が鈍いことからも貧富の差は拡大していることが確認出来ます。
最低賃金の上昇は貧富の差の拡大を止めるか?
最低賃金の上昇がゼロであった時期もありましたが、直近では3%上昇を達成しています。賃金の上昇により企業が人員削減をして失業率の上昇を懸念する意見もありますが、消費の裾野を拡大する為には必要なことかと思います。
ロストジェネレーションを正規従業員へ
ロストジェネレーションは1700万人いると言われていますが、この1700万人全員が正規従業員の収入を得ることになれば日本経済のパイは大きく拡大します。今後はロストジェネレーションを正規従業員になってもらう政策を期待したいと思います。