2019年10月9日水曜日

消費税10%スタート 残りは7兆円、次は誰の懐に手をいれるのか? ターゲットはキャッシュリッチ企業



(写真:Graphs/PIXTA)


日本の財政は社会保障費を赤字国債で賄ってきた。

 単位:兆円

・財務省:日本の財政関係資料 
・財政統計〉統計表一覧 昭和42年度以降主要経費別分類による一般会計歳出予算現額及び決算額 により作成


日本の財政は1987年には歳出歳入が60兆円以下でしたが、100兆円が定着するほど拡大して来ました。社会保障費は10兆円レベルでしたが、既に35兆円レベルに増大しており、増大分を赤字国債(特例国債)を発行して賄ってきました。

歳出から債務償還費と利払い費を除いた政策的経費を、税収等で賄うことの出来るプライマリーバランスゼロまで残り9兆円のところに来ました。

プライマリーバランスゼロの達成は、2002年から達成時期を2010年→2020年→2025年と先延ばしされて来ましたが、日本の財務関係資料(令和元年6月)の28ページによると足元の経済成長率でのシュミレーションでは7兆円が不足します。

税収と内訳では法人税の回復が鈍い

財務省:日本の財政関係資料 より作成




税収と内訳を確認すると法人税の回復が悪いことが確認出来ます。これは経済危機後に法人実効税率が下げられていることが理由です。国際的にはまだ高い方なので国際競争力の観点でかつての50%の水準に戻すのは難しいです。


「投資」にも「賃上げ」にも「株式還元」にも向かわない現金・預金

単位:億円

法人企業統計年報より作成


平成の長い経済不況の中で企業は、資本を積み上げて来ました。自己資本比率は過去最高を更新中です。資本が積み上がることは、「投資」や「賃上げ」や「株主還元」に向かえば問題ありません。問題なのはそのままでは成長に寄与しない現金・預金が積み上がっていることです。


企業の現金・預金に課税する


法人企業統計の調査対象の企業数は、約28000社で220兆円を現預金を保有しているので、単純平均で80億円以上を保有している企業が課税対象となるイメージです。実際には企業は負債もあるので有利子負債を際引いたネットキャッシュリッチな会社への課税が検討されて行くかと思います。