11月2日にラグビーワールドカップ2019に決勝戦が行われ、南アフリカが3度目の優勝を果たした。決勝トーナメントの3試合を通じて、トライを1つしか許さない強さを見せました。南アフリカの主将のシヤ・コリシ選手は「様々な背景、人種が一つになって優勝できた。一つになれば目標を達成できると示せた」と語りました。
代表チーム「スプリングボクス」のように1つになっていない南アフリカ経済
名目GDP(単位:百万USドル)出典:IMF
1人当たりGDP(単位:百万USドル)出典:IMF
ラグビーワールドアップで過去に優勝経験のある国のGDPは2018年でイギリス(5位)・オーストラリア(14位)・ニュージーランド(53位)・南アフリカ(14位)となります。
1人当たりのGDPだと、イギリス(22位)・オーストラリア(14位)・ニュージーランド(24位)・南アフリカ(91位)となり、南アフリカが貧富の差の激しい国であること浮かび上がってきます。
失業率(単位:%)出典:Investing.com
CPI(単位:%)出典:Investing.com
失業率についても、上昇中で非常に厳しいことが確認されます。10%を超えると国民生活が圧迫され、20%を超えると政情不安となるとされている悲惨指数は、失業率の高さから直近では30%を超えています。
悲惨指数(ミザリー・インデックス、Misery Index)とは、米国の経済学者アーサー・オークン氏が考案した国民の生活度合を表す指数で、失業率と消費者物価指数の上昇率を加算して算出される。悲惨指数が10%を超えると生活が圧迫されることで国民の不満が高まり、20%を超えると時の政権に影響を与えると言われている。
殺人発生率(単位:人数/10万人)出典:UNODC
南アフリカの政情を不安定にさせる要因としては、1994年のアパルトヘイト政策の廃止のより犯罪率の上昇によって高学歴の白人を中心した人材流出があります。アパルトヘイト政策が廃止される前の有色人種(カラード)は教育を受ける機会を失っており、社会を支えていた高学歴の白人の国外への流出は社会を弱体化させました。
代表チーム「スプリングボクス」のように南アフリカ経済は1つになっていないです。
ラグビーワールドカップ優勝 と 悲惨指数
悲惨指数=失業率(単位:%)+CPI(単位:%)
出典:失業率・CPI共にIMF
ラグビーワールドカップの優勝と悲惨指数との関係は、どの国も優勝した年以降は悲惨指数が下がるという希望があります。
金価格と南アフリカ経済
金価格(ドル/トロオンス) 出典:田中貴金属
経常収支・貿易収支(単位:百万USドル)出典:UNCTAD
南アフリカはかつての金生産量世界一であり、現在も世界第7位です。金価格の上昇は、南アフリカの経常収支・貿易収支のマイナス幅を縮小して南アフリカ経済にとってプラスですが、2019年の夏以降に金価格は2011年のレベルで推移しています。今後の南アフリカ経済にとって好材料です。
まとめ:南アフリカ経済には明るい兆しはある
南アフリカランドチャート月足(ZAR/円) 出典:CLICK365
南アフリカランドチャート5分足(ZAR/円) 出典:CLICK365
南アフリカランドは長期的にはリーマンショック以降は下げトレンドですが、ラグビーワールドカップの優勝を好感して、南アフリカランドは1%以上プラスで11月4日は寄り付いています。
南アフリカは、経常収支・貿易収支の赤字国ですので、通貨高は経済にプラスです。
明るい兆しも出てきているので今後も南アフリカの失業率・犯罪率・金価格の推移を見守りたいです。